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コラム

 コラム3 オカリナづくりのエピソード
「オカリナを吹くトトロのオカリナ」を作って以来、これまで多くの人たちとオカリナづくりを楽しんできた。
その時のエピソードを二つ紹介する。

 
鳴子を図面だけでチャレンジ

オカリナづくりでは、歌口づくりが最も難しいので、笛の部分が独立した「鳴子」を作って、鳴るしくみを説明していた。
そのために、説明図を黒板に書いていたが大変時間がかかる。
そこで、説明図を模造紙に描き、その図を見て作れるようにした。そして、意欲的に取り組めるようにと、一番早く鳴らせた人に好きな形のオカリナを作るという約束で進めた。

みんな真剣になって取り組み、最初に鳴らせた生徒は得意満々でかなり盛り上がった。
生徒のリクエストは、「小トトロ」「中トトロ」「蓮の葉を持つトトロ」「紅の豚」「テト」「猫バス」、そして「F1カー」私の作品「獏」のミニチュアと多岐にわたった。

生徒と一緒に作るので、失敗しないようにと私も真剣である。その雰囲気が伝わるのであろう、生徒も普段より集中して取り組んでいる。
条件次第で、学習の集中力が随分違うことを実感した出来事であった。

 口の周りが真っ白に 

鳴子もオカリナの吹き口も、唇を当てて何度も試し吹きをしなければならない。
土粘土なので、何人かの生徒は口を離して吹こうとする。そうすると、息の水分で吹き口が湿りふやけてしまうし、横から空気が漏れるので正しい音階にならない。
中には、ティッシュペーパーを間に挟んで吹く生徒もいる。なかなか工夫するものだと感心していたら、音がだんだん鳴るにつれ、口に土が付くことも忘れて熱中している。
チャイムが鳴って退室する生徒に、「口の周りを鏡で確かめなさい。」と声をかけなければならないこともあった。
土粘土は油粘土と違い、臭いも少ないし、水で洗えば汚れが簡単に落とせる。
粘土の性質については、水の割合によって性質が変わること、温かい手で触っていると表面だけが乾いて小さなひびが入って扱いにくくなること、乾くともろい状態になることなど、少しずつ粘土の性質がわかるようになってくる。
この頃、触れることの少なくなった土との新たな出会いが始まる。