※ この題材は、日本教育工学振興会JAPET「実践事例アイディア集Vol.15」に掲載された。
動画やアニメーション、小説などのストーリー性のある作品づくりでは、問題を解決する過程で必要な吟味や批判などが頻繁に行われる。これは、発想力や構想力を育てることにもつながると考えられる。
そこで、動画を容易に作成できるというコンピュータの特性を生かして、ストーリーの展開を楽しみながら発想力、構成力などの造形感覚を養うことを目標とし、さらに他者の作品を引き継いでリレーすることによって刺激を受け、自己の造形表現に反映できるように工夫している。
題材の特徴
ポイント1 動くという不思議 ───────────────────────────
グーとパーのたった2枚の絵でも、素早く交互に入れ替えると動いて見えることに驚きの声が上がる。まるで途中の形も見えるように感じるから不思議だ。
これまでの体験を基に、脳が予測して画像を作り出しているのだろう。見ることと見えることの関係を考える良い機会である。
ポイント2 ネットワークを活用する ────────────────────────
携帯電話やインターネットの普及により、他者とリンクしているという感覚はこれまで以上に強くなっている。しかし、普段は自分と気の合うものとのやりとりである。だれとでも作品を通じてコラボレーションするというところがこの題材の魅力である。
リレーによって、作品はどんどん増殖していく。選択肢によってストーリーが変わる最近のゲームのようだ。ネットワークは、作品の可能性を無限に広げる。
ポイント3 「鑑賞」と「発表」の相互作用 ─────────────────────
リレーするときには、リレーしたい作品の選択(評価・判断)と、リレーしてもらえるような作品の提供(他者評価の予想・展開の効果)必要となってくる。
鑑賞による刺激と、発表による緊張が交互に行われることによって、これまで難しかった短時間での意識変革が行われていく。