タイトルイメージ
本文へジャンプ

 point.1  発達段階と発達要求を踏まえて
ローウェンフェルドは、子どもの創造活動に見られる創造性と精神の成長段階、個人差から発達段階を次のように考えた。

○ 自己表現の最初の段階
  (なぐりがきの段階:2~4歳)
○ 再現の最初の試み
(様式化前の段階:4~7歳)
○ 形態概念の成立
  (様式化の段階:7~9歳)
○ 写実的傾向の芽生え
  (ギャング・エイジ:9~11歳)

続いて、11~13歳を「疑似写実的段階」とし、正確な再現的表現を行おうとする傾向が見られる反面、発想の自由性も減少していくようになるとしている。

そして、13~17歳を「決定の時期」としている。中学生になって、写実的表現にさらに興味をもち自分でもそれを試みるが、視覚的に認識したことと、技巧的な手法がうまくかみ合わず、そのことが創造的表現能力のつまずきとして作用する現象が見られるようになる。
そんな時期を経て、自己の理想的思考と抽象化能力が一層高まる高校時代を迎える。
リアルな表現に加えて表現の多様化と深まりを増すが、中学校時代に受けた心の傷の深さが容易に回復しない場合には、写実的、視覚的な表現への失望から、創造的活動全体に意欲を失ってしまうことがある。
青年期の危機ともいわれるこの時代は、自我の意識が強く、感情の起伏が激しくなったり友達との敵対感情が生まれたりするなど、大人への転換期であり、自我の確立を目指す最も不安定な時期である。
これらの写実を意識する時期を、いかにうまく過ごすかが重要であり、そのためには「写実的な表現ができることが最終的な目標ではない」ことを、指導者も意識していかなければならないであろう。

生徒の造形的活動における発達要求を適切に知り、夢と希望にあふれた生き生きとした自己表現が実現できるように手助けをしたいものである。

創造的活動の発達欲求と心理的発達
年齢 11     12     13     14     15     16     17
児童画の発達要求 トムリンソン 写実化(レアリゼイション)と覚醒の段階
思春期と時を同じくする
ローウェンフェルド 疑似写実的 段階
-推理の段階-
決定の時期
-創作活動に見られる 青年期の危機-
心理的発達 ホーマーレーン 協同の時代
-最後の過渡期-
協同の時代
-思春期-